記念講演記事「AI」×「FASHION」ファッション領域の人工知能から覗く近未来

2018.10.09

 9 22 日(土) 福岡 PARCO The Company にて、日本経済大学開学 50 周 年記念公開講演会の第3弾を開催しました。第3弾は「AI(人工知能)」にフォ ーカスし、現時点で有効に活用されている「AI」を、生活に身近な「FASHION」 分野と絡めた内容で行いました。

 

講師に、ファッションに特化した AI を開発し、アパレル EC やメディアなどに 提供・展開をされている株式会社ニューロープ 酒井 聡氏をお迎えして、世の中 で活用されている多くの実例を紹介いただきながら、AI の得意・不得意を交え、 近い未来はどのようなことが AI で実現可能となるかをお話しいただきました。

 

 


 

酒井 聡 氏

「AI」と「FASHION」の融合

 

AIといえば、自動運転や医療といった領域に寄せられる期待が大きいですが、 人命に関わる分野は 100%に近い精度が求められるため、実現にはまだ時間がかかると言われています。

 

対照的に、80%の精度でも十分に人々の役に立つことができるファッション領 域では、すでに AI が多方面で活用されているんですよ。

 

購入履歴から興味や嗜好性の判断、またそれだけに留まらず、多くの蓄積データ から考え出されるコーディネートやスタイリングの提案など、みなさんにも面白いと思ってもらえる分野ではないかなと思います。

「よく一緒に購入されている商品はこちらです!」はスタンダードな時代

 

自分の購入したアイテムに基づいて「こんな商品も良いですよ」という提案を受けられるような体験は、EC サイト上ではだいぶんおなじみになってきていますよね。

 

これは、アイテムの閲覧や購入といった履歴データを元に「この商品を購入した 人はこの商品も購入する傾向にある」みたいな統計分析をかけて、商品提案する という仕組みになっています。

 

ただしこの方法だとトップスを買った人にトップスを提案してしまうようなこ とが起きて、いつでも使える完璧なソリューションとは言えません。これとは異なる切り口での提案を AI でやっていくというのが、弊社が主に力を入れている 取り組みです。

 

弊社ではフォロワーの多いインスタグラマーさんたちが何と何 を着合わせているのかというスタイリングデータを大量に蓄積しています。

この情報を使って、何か新たなことができないかと始めたのが、AI でのコーディネート提案です。

 

スナップ写真からアイテムを判別

 

着用しているアイテムのデータ取り

着合わせを考えたスタイリングの提案

 

着合わせを考えたスタイリングの提案ファッションの EC サイトってすごく便利なんだけど、いざ欲しいものを探そう!と思ったときに、とにかく情報量が多いので探すことに疲れを感じる方も 多いんじゃないかなと思います。

 

それに応えるべく開発したのが「スタイリングを提案してくれる AI」です。 手持ちのトップスに合うものが欲しいな!という要望に対して、着合わせの良 い候補をいくつか提案するといったサービスで、EC サイトや店舗、DM などに も活用いただいています。

 

例えば、店舗にお客さんの全身が映るようなデジタルサイネージを置いておいて、「今着ているアイテムにはこんなのが合いますよ」とか「店内のこの辺にあります」と興味をもたせるような仕掛けをしてあげることで、店内回遊を促すと いうようなことができます。

 

また、EC サイトで商品を購入したユーザーに対して、購入アイテムに合うその 他のアイテムの提案をするようなところでも役立っています。

 

情報がパーソナ ライズされていていることから、消費者にも便利でわかりやすく、さらに親しみ を持ってもらえるキッカケになっているのではないかと感じています。

 

次はファッションのトレンド予測に挑戦!

 

挑戦したいと思っているのはファッションのト レンド予測です。

 

売れ残ったアパレルをブランドが自ら焼却廃棄しているといった報道を目に することがあるかと思いますが、環境の負荷になることはもちろん、過剰在庫は 製品価格などにも影響しています。だからと言って、売り切るためにただ安く売 ってしまうのもブランド価値の低下につながってしまいますよね。

 

そういったことを回避するためにも、ファッションのトレンド予測に力を入れ て、必要見込み数などを、あらかじめ配慮する必要があると考えています。

 

具体的には Instagram Twitter などに公開されているファッションスナップ を解析し、世の中にどういったアイテムが流通しているのかを定量的に計測す るということをしています。 こういったデータを用いて、SPA 業態のアパレルを中心に、期中に新しく投入 するべきアイテムを提案したり、在庫の積み増し量を提案したりといったことを進めています。

SNSにアップされたスナップ写真
 

 

現状は、データの蓄積が機能しにくいシーズンの変わり目の対策が課題となっていますが、フォロワーの多いインスタグラマーは展示会に招待されてワンシ ーズン先のアイテムを発信したりしているところから、これが先行指標として 有効なのではないかという仮説を立てています。

 

また監視カメラの映像を解析することで、東京・横浜・大阪・福岡など各エリア ごとのトレンドも定量的に蓄積することができます。このデータを用いれば、多店舗展開しているアパレルさんは在庫の適正配分を進めることができます。

 

様々なデータを収集し、複合的に活用することでそもそも何を作るのかといっ たところから、在庫の適正量の推量、在庫の配分などに深く関わっていけるような精度の高いものを目指しています。

講演会 会場の様子

 

 

株式会社 ニューロープ 代表
酒井 聡 氏

 

 九州大学でアートとエンジニアリングを学ぶ。在学中、ポスター制作等デザイン分野で活動。2009年、(株)マイナビに就職し、情報誌の編集、マーケ、広告、オペレーション構築、営業支援等に従事。同時期に中小企業診断士を取得し、複数企業をコンサル。2012年より(株)ランチェスターでウェブアプリ、スマホアプリの企画、デザイン、PMを務めながら、スクールでプログラミングを学ぶ。2014年、(株)ニューロープを設立。ファッションに特化したAIを開発し、アパレルEC・メーカー・小売・メディアなどに提供する事業を展開。